電子インボイスの保存と
PDFの関連性
電子取引の中でも電子インボイスは特に重要です。電帳法では電子取引データは保存の要件を満たした状態で電子のまま保存しなければなりません。消費税法上の書類は紙でも保存が可能ですが、法人税法などの書類は2024年1月1日以降、電子インボイス(つまりPDFの適格請求書)は電帳法の要件に従って電子のまま保存する必要があります。もし、PDFの品質や保存条件が悪く、適格請求書と認められないと、仕入れ税額控除ができない事態になってしまいます。
PDFには品質の「差」がある
PDFに品質の「差」があることをご存じでしょうか。これからは、PDFの作成はもちろん、受け取るPDFの品質が基準を満たしているか確認が必要です。なぜかと言うと税務調査で取引先から受け取ったPDFや長期保存していたPDFが表示できない可能性があるからです。
PDFは1993年にAdobe社がAcrobatという製品が保存するファイル形式として世に出ました。その際にファイルの仕様が公開されますが、完全なドキュメントではありませんでした。技術的に非常に難しい部分を省略したり、解釈次第で判断が変わるなど、PDFの品質に差がでる余地を残したままPDFの利用が広がっていきます。PDFはISO(国際標準)になっていますが、ISOになったからといって品質が急に良くなるわけではありません。
すでに膨大な量のPDFファイルが存在し、古いソフトウェアや外見上は不備が見えないツールを使い続けているユーザーも多く、これらを改善する方法はほぼないといっていいでしょう。
長期保存用の国際規格「PDF/A」とは?
「PDF/A」はPDF形式の国際標準規格の一つで、長期的な電子文書の保存を目的にした国際規格です。Aは「archive」=「記録保管場所」を指す言葉から来ています。文書ファイルを長期保存(アーカイブ)し、将来的にシステム環境が変わっても表示し続けることができるのが特長で、公文書での利用も増えています。「PDF/A」にはいくつかバリエーションがありますが、お薦めは「PDF/A-2b」や「PDF/A-3b」(WordやExcelなどのファイルをPDFに埋め込む必要がある場合のみ)になります。
信頼性の高いPDF製品を選択すべき
世界中に数多く販売されているPDF製品ですが、実はその技術力にはかなりの差があります。では、どの製品を選べばよいのでしょうか。昔から高機能な製品を世界中で販売し続けている会社の製品を選択するのがベストです。PDFの基本仕様は長年ほとんど変わっていません。ソフトウェアの世界では同じ製品を長年販売し続けることで、細かな不具合が改善すると同時に、製品の機能が成熟することで品質が安定します。PDF製品には安定性、安全性が今一番求められています。
特集「電帳法とPDF」全3回
電帳法の概要と電帳法に対応したPDFの作成方法について徹底解説
特集❶改正電子帳簿保存法とは
改正電子帳簿保存法が2022年1月から施行され、国税関係帳簿書類の総電子化の流れが本格化してきました。そこで「電帳法特集」として全3回で電子帳簿保存法のポイントと電子化で必要とされるPDFソフトの機能や活用方法を紹介していきます。
詳しくみる特集❷電帳法のルールとポイント
「電帳法特集」の第2回。第1回では電子帳簿保存法成立の経緯と概要について紹介しました。第2回では、電子帳簿保存法で定められた国税関係帳簿書類の扱いについての3つのルールを詳しく解説したいと思います。
詳しくみる特集❸電帳法対応のPDFを作る
「電帳法特集」の最終回。電子データで最もよく使われるファイルはPDFでしょう。今回は電子取引で使うためのPDFの作り方、特に国際規格である「PDF/A」に着目し、電帳法時代に求められるPDF製品の安定性・安全性について考察していきます。
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