第22回 PDFのページ編集のポイント
〜サクサクできるページの差し替え・削除・複写〜

PDFのページを変更したい

紙の資料は紙面の差し替えが簡単にできますし、サイズが異なる紙が挟まっていても、ひとつにして綴じることができます。PDFも紙と同じようにページの差し替え(移動や削除、他のPDFの挿入やページの取り出し)やPDFの結合(統合)、分割といったことができます。サイズの異なるページが混在していても問題なく行えます。
今回は、PDFのページの差し替えやPDFファイルの結合(統合)などのやり方と、こうした作業を行う上で注意しておきたい点についてご紹介します。

PDFは紙の文書をそのまま電子化したものという理解をされている方も多いと思います。PDFの仕様が紙を模してつくられているので紙面(ページ)があるというのは当然のように感じますが、実はそこがPDFの胆(きも)のひとつだったりします。
写真などの用途に使われるJPEGなどの画像用ファイルのほとんどは、複数のページを持つことができません。1枚(あるいは1個)の画像をもったファイルとして扱われます。PDFが持っているページに関する各種パラメータは商業印刷などを含む特殊な業界までをサポートしており、PDFが現在も幅広い分野で使い続けられている理由のひとつといってよいと思います。

なお、本稿では、PDFのページの差し替えなどの作業をPDFの「ページ編集」と表記していますが、少し注意が必要です。「ページ編集」はページ内の文字や図形などのコンテンツはそのままで何も変化しません。いわゆるPDF本文を(直接)「編集」することとは別の意味で使われています。

ページ編集はどうやってやるの?

PDF-XChange EditorでPDFファイルのページを操作する場合、大きく二つの方法があります。ひとつはサムネイルの画面を使う方法、もうひとつはメニューからファイル結合のためのコマンドを選択する方法です。
例として「PDFファイルの結合」を考えると、下記の方法が一般的です。

サムネイル方式:

二つのPDFファイルを開いて「サムネイル」ペインを表示 ⇒ コピー元のPDFファイルの「サムネイル」ペインですべてのページを選択 ⇒ 挿入先のPDFのタブ上に選択したページをドラッグ ⇒ サムネイルが挿入先のPDFに切り替わるので、挿入先したい場所でドロップ

PDF-XChange Editorの「サムネイル」ペインは、下記のいずれかの操作で表示することができます。

  • Ctrl+Tを押す。
  • 「表示」メニュー→「ウィンドウ」→「ペイン」→「サムネイル」を選択。
  • 画面左側の「クイックツール」から「サムネイル」ボタンをクリック。
  • 画面左下のペインタブで「サムネイル」をクリック。

リスト方式:

「ファイル」メニュー→「新規ドキュメント」→「ファイルを結合して1 つのPDF にする」をクリック ⇒ 「複数ファイルを結合する」画面で結合したいファイルを登録 ⇒ OKボタンを選択

サムネイル方式とリスト方式のどちらを使ったほうが便利かはシチュエーション次第です。
100ファイルといった多くのPDFファイルを結合したい場合は、リスト方式が圧倒的に便利でしょう。
中身がわからず、ファイルを開いて内容を確認しながら作業したい場合は、サムネイル方式が確実でしょう。

サムネイル方式で自由自在にページを操る

サムネイル方式のドラッグ&ドロップの手法は、様々な応用が可能です。

・デスクトップやフォルダの画面に選択したサムネイルをドロップすると、ドラッグしたページだけを持つPDFを作成してくれます。

ページの抽出

抽出したいサムネイルを選択し
デスクトップへドラッグ&ドロップ
抽出したページだけのPDFファイルを作成

・PDF-XChange Editorのタブの空いているところにドロップすると、ドラッグしたページだけを持つPDFのタブが作られます。

・デスクトップやフォルダのファイル(PDFファイル以外も自動で変換)をサムネイル上にドロップしてページを挿入することができます。

ファイルの挿入・取り込み

挿入したいPDF(表紙)をサムネイルにドラッグ&ドロップ
表紙の挿入が完了

サムネイルを操作すること、つまりPDFのページの選択ができて、移動が画面でできると理解した時点で、同じ画面でページの削除や複製もできるのではと、直観的に察しがついた読者も多いと思います。まさにその通りで、ページの削除や複写、移動などを文字のコピペと同じ操作で行うことができます。

下記は、PDF-XChange Editorの「サムネイル」ペインにある各種ボタンの機能と、サムネイルの選択の状態を紹介した図です。

サムネイル画面のボタンの役割とサムネイルの選択

ボタン

  • オプションボタン
  • サムネイルの「拡大表示」ボタン
  • サムネイルの「縮小表示」ボタン
  • 選択したページを反時計回りに90°回転
  • 選択したページを時計回りに90°回転
  • 選択したページの印刷
  • 選択したページの削除
  • 選択したページプロパティペインの表示(ページのサイズなどを表示)

サムネイルの選択画面

  • サムネイルを選択すると背景が灰色に変わります。
  • shiftキーを押しながらクリックするとクリックしたところまでを連続選択、ctrlキーを押しながらクリックするとクリックしたところが選択状態(再度クリックすると選択解除)になります。
  • オレンジ色の矩形は現在画面で表示されている領域を示しています。

PDFを扱えるソフトウェアやWebサービスでページ編集が可能で、先ほど説明したような方法で操作できます。ただ、2方式とも対応しているツールは限られると思います。また、サムネイル方式の出来具合を見ることで、製品の作り込み具合を感じることができるでしょう。様々な操作にしっかり対応しているかどうかが、製品を選ぶ目安になると思います。

PDFのページに関する豆知識

PDF規格のページに関する部分は、仕様がどんどん改良されていた当時(2000年前後)から基本的な枠組みはほとんど変わっていません。
以下に、「よくある質問」風にその特徴をご紹介します。

●PDFのページの解像度を知りたい

PDFのページ情報には、画像ファイルでよく使われる「ファイルの解像度」と同じ意味の情報は含まれていません。
解像度を考慮すべきなのは、PDFのページ内に配置される画像です。画像の縦横のピクセル数は、印刷や用途に適した解像度にしておくことが重要です。PDFを生成する際に、過度に高解像度の画像を使用すると、PDFファイルのデータ量が不必要に大きくなり、利便性が損なわれる可能性があります。また、用途に対して過剰な解像度は意味を持たないため、適切なバランスを考慮しましょう。

●PDFのページサイズ

PDFにはページごとに用紙サイズのパラメータがあります。異なるサイズのページが混在していても問題ありません。しかし、PDF全体を通したページサイズの指定や、A4とかA3といった用紙サイズの名称はPDF内には含まれません。

●ページが独立していることのデメリット

ページが独立しているが故の課題もあります。最大のネックは、ページの文章の最後が、次のページの文章のどこにつながっているかを示す方法がないことです。あまり「賢くない」PDFを扱うソフトウェアでは、単純にデータの並びだけでテキストを取り出してしまうため、複雑なレイアウトやヘッダフッタがあると、⼈間が認識するのと同じような⾃然な⽂章の流れにならない場合がありますが、PDFのテキスト抽出に長けたソフトウェアや、PDFを読み上げるソフトウェアは、レイアウトを解析して、文章の流れを予測します。

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